着物 日本舞踊

舞踊会終わりました☆パート2

 

前半のパート1が思った以上に好評だったので、機嫌よく2を書いてみたいと思います(笑)

舞台は一切、撮影禁止なので、まだ舞台上のお写真は載せられないのですが、今回私は花道出を経験させてもらった事は1で書きました。

下合わせの時、小走りくらい急がないと定位置に辿り着かない。でも静御前は重く堂々と出てこないといけない。

師匠が言ってました。最初の出が大切。それで雰囲気が決まってしまうからって。これはどの舞台も同じですね。第一印象が本当に大切なのです。

だからファッションショーも一番いいモデルがラスト、2番目にいいモデルがトップに歩くんですよ!!

 

こちらが花道の出てくる場所↑↑

やっぱり幕を開けるのは手動でした。人の手。後見さんがお一人、付いてくれていてギリギリまで私の髪を直したりしてくれていました。

下合わせで間に合わなかったので、少し早めに幕を開けてもらって出る事にしました。これが見事に大成功!!曲に合わせてピッタリ止まれました♪

 

 

これ、下合わせの写真なのでお客様いません💦

そして、この位置である程度踊ってから、本舞台に入って、後見さんが待ち受けてくれている場所にゆっくり歩いて行き、後ろを向いた状態で、上げていた着物の裾を下ろしてもらいます。

 

 

この一番下の裾引きの着物の上に着ている羽織の着物も下ろしてもらって、二重になるという事。前を開けてもらって、帯に扇子を差してもらいます。

それらの用意を前から一人、後ろから一人の後見さんにやってもらっている間、私は全く動かず、何もないかのように堂々と立っていないといけません。

ものによっては、かなり身体を動かされる事もあると思いますが、それでも動じずに堂々と背中を見せて立っているのも大切だなぁと思います。

動揺って背中からでも伝わるものなんですよね。

そして、準備をしてもらったら、構えて振り向いて、ゆっくりと舞台の中央へ。

下合わせの時に注意された、座る向きの角度を確かめつつ、ゆっくりと座ります。この座って、立ってという動作をいかにスムーズに、重力を感じさせずにできるか?

よっこらしょって見えちゃ台無しなので。着物も鬘も普段より重さが乗ってきますしね。ここはウォーキングで腹筋、背筋を鍛えておいて本当に良かったと感じるところ。

でも立ち上がる、座る為の脚力が私は最初全然なくて、かなり苦労しました。だってモデルは座らないし。正座も絶対しないし、膝もつかないし。

歩くときの筋肉と、この立ち座りの筋肉が違うんでしょうね。スッと立つのに苦労しました。今でもそんなに得意じゃない(;'∀')

 

あとは、表情。私、もともとクールな顔つきなので、鬘付けて白塗りすると余計に目がつり上がるんです。

 

素顔だとあんまりそうは見えないけど・・・

 

 

ね、目の下に赤のラインが上向きに跳ね上げで入るから、余計にそう見えるんでしょうね。

あ、ちなみに日舞のお化粧でもつけまつげを付けるんですよ!!これ、意外でしょ?!つけまつげを持参するか、その場で千円出して買うんです(笑)

でも、私は普段からまつげエクステをしているので、化粧師さんが、これでつけまつげまで付けると、すごく現代っぽいお目目パッチリになるから付けない方が良いと思うと言われ、

私はまつエクだけで出る事にしました。

だから彦太先生、つけまつげ付けるの、すごく上手いんですよ。舞台のたびに付けてるからね。

 

で、話を戻すと、私の顔は釣り目で細くなるから、お姉さん役なら良いんですけど、今回、静御前って言っても15,6歳だからさ(笑)

あんまりクールな顔にならないで・・・ってお稽古の時から言われてて、だから本番も、『私は中学生、私は中学生』って思いながら、なるべく優しい顔をするようにがんばりました(笑)

で、一通り、踊って、下合わせの時のDVDで気になった部分も上手く修正して、一度、舞台袖にはけます。

 

舞台袖すぐには鬘の方、衣装の方、後見さんなどがスタンバってくれていて、ピットインしたら、すぐにわーって囲まれて、四方八方から手が伸びてきて、一気に着替えがスタート!!

これ、下合わせで初めて経験して、本当にF1のピットインという言葉がピッタリだなと思いました。

だって、モデルでもそんな大勢に囲まれて、一気にいろんな事されるってなかなか無いから(;^_^A

衣装さん二人くらいに脱がされながら、鬘の人はロン毛だから、髪の毛を持ち上げてくれていて、もう一人の鬘師の人が烏帽子を乗せてくれて、

袴に足いれて、袴の紐を腰で結びながら、後見さんの一人は、腰に刀を紐で結わえてくれていて、もう一人の後見さんは袖が長いので、袖を持ち上げつつ、私の肘を支えてくれている・・・

汗押さえてくれる人とか、足を持ち上げてくれる人とか、一体、私今、何人に囲まれてるんだろう?って思いながら、されるがまま。

でも、それだけの方達に準備をしてもらっていると、本当にこの舞台に立つのに、どれだけの人のお世話になっているんだろうと思って、本当に胸が熱くなります。

 

おまけに下合わせでは後ろのセットが無い状態だったのに、本番では目の前で上から大きな赤い柱がどーんと3本も降りてきてるのが見えたし、足元からは赤い欄干みたいなセットが

人力でゆっくりと押し出されてるのも見え、

 

ほぇーーーーーーー!!!!!!!!!!セット、こんな豪華なの???!!!!!

と思いながら、あれやこれやされてました。

この着替えとセットチェンジの間は、鳴り物さんという方が声と鼓で場を繋いでくださいます。通常の部分はCDなんです。でも、こういう時間が読めない部分は生演奏なんですよ!!

で、全ての着替えが終了した時点で、白拍子用の六骨の扇子を持たされ、出まーす!!という事で、そこから舞台に出ていきます。

 

 

その時は、この状態になっています。

本当はこれに刀を腰に差している状態。扇子も片手に持っています。ちゃんと烏帽子の紐も顎の下で括られています。

 

袴の裾が思ったより長くてビックリしたといわれましたが、私、背が高いからこれでも短いほうじゃないのかしら?

これで歩くので、そりゃ歩きにくいです(笑)意外にこけたりはしないんですけど、でもやはり座ったり、寝たりしたあと、立ち上がる時につんのめりそうになる時もあります💦

まさにこういう片ひざ立ちのポーズが数回あり、その時に上手く片方の袴の裾が前に出てないとカッコ悪いのです。

他にも、袴の裾を上手く前に持ってくる所が数か所あり、そこをかなり練習したかなぁ・・・

こればかりは実際に履いて練習しないと無理なので、11月くらいからお稽古でも履かせていただいてました。それは師匠のおかげです。

だって、早くから履かせてもらうって事は、その分、衣装をお借りする期間が長くなり、経費がかかる事になるから。

下手すると、本番直前まで衣装を着せてもらえない所もあると聞きます。

もひとつ聞いたのは、下合わせを本番と同じ文楽劇場でさせてもらうのも、スゴイ事だとお聞きしました。

それもお借りするの大変じゃないですか。二日分かかってくるので。でも、それこそ、下合わせで距離感が初めて測れるので、あれがないと本番どうなっていたか(;'∀')

 

下合わせで距離感測ったくせに、本番でも上手く取れなかったんですよー。この後半の出が。

下合わせの時、師匠から「少し早く出たほうが良いんじゃない?」と言われて早く出たら、私が緊張からいつもより早歩きになってしまい、舞台のセンター通り越してしまったんですね。

だから、本番ではゆっくり歩いたらちょうどいいはずって思ったんですけど、出るタイミングをかなり早くしてしまったみたいで、ゆっくり歩いたのに、やはりセンターを超えても曲の前を向く所にならず、

やばーい、どうしよう・・・超えるー

と思いながら、ちょっと早めに前を向いてしまい、曲とズレるという(;'∀')

 

モデルは曲のこの部分で止まるとか、大概決まってないので、まだ曲に合わせてどれくらいで出たらちょうど良いか?が分からないなぁ・・・

でも、驚くほど、本番はずっと冷静だったんですよね。ま、超えたけど、そのあとで修正したら良いしって思いながら、どうせお客様にはそんな事は分からないだろうしって。

で、心配してた袖をしっかり持って上に持ち上げる所も上手くいったし、烏帽子を前にポトンと落とす所も、刀を後ろから渡してもらう所も、後見さんの見事なフォローにより、難なくクリア。

よしよし、かなり良い調子♡と思いながら、中盤、凛々しく踊っていた静の女性らしい弱さを見せるシーンになり、ここも出来るだけ情感たっぷりに落ち着いて見せられてるかな?と思いながら、床に置いた扇子との距離感も良い感じで、この後、拾って立ち上がって踊らないといけないから、今から突っ伏して泣くけど、泣く場所はこの辺りが良いかなぁと、そして、いざ、泣くぞ!!と思って、顔を下ろしていく所で事件は起こりました!!

 

え?あれ??なんで??頭が後ろから引っ張られて、顔が伏せられないんですけど・・・(;'∀')

 

一瞬、??ってなったんですが、あ!!私、ロン毛のヅラを自分で踏んでるんだわ!!と気付きました。

 

 

そうなんです。自分で後姿は見てなかったんですけど、ここまで長かったんですね。だから、座って突っ伏した時に髪の下を自分で踏んでたんです。

でも、踏んだまま無理に顔を下に下げると、もちろんヅラがズレますよね!!それだけはマズイと!!この後もまだまだ踊るのに、ヅラが半分ズレた状態で踊るのは、一番やっちゃダメな事だと(笑)

で、どうしたか??

お尻を少し浮かせてみたんです。そしたら、髪の毛が外れて、見事、床に顔を突っ伏して泣く事に成功!!!!!!!!!!!

キャー!!やばかったー!!本番何があるか分からないー(;'∀')

 

そのあとも順調に苦手だった所もクリアしていき、お、私、やるな!!と思いながら、いよいよ、ラストが見えてきたぞー!!と、でもここで気を緩めちゃダメだ・・・

なんて思いながら、ラストの直前で、なぜか、ポーンと振りが飛ぶという(笑)え?ここで??みたいな。

なんだっけ?ってなって、まぁ、とりあえず忘れたから構えのポーズしておこうと思って、それから思い出して、最後の決めのポーズへ。

まぁ、そこも今までで一番うまく決まったかなぁという感じで、幕が下りました。

 

ノーミスでいけるかな?と一瞬思ったのがまずかったんだなぁ・・・いやぁ、やっぱり精神面の冷静さが本当に必要だわ。緊張しすぎもダメだし、調子乗ってもダメだし。

でも、鬘をまさか自分で踏むというアクシデントが最小限で済んだのは、文楽劇場の神様に助けられたと本気で思いました。ありがたかったー!!

だって、あそこで泣きたかったもん。あそこで思ったほど泣けないと、ちょっと演目全体の質が変わるくらい大事な所だと思うから。

唯一、静の弱い女性らしさが見える部分だからね。

 

 

終わってホッとして、楽屋に戻って、まずはスタジオで写真撮ってもらってから、皆さんの所へ。

 

 

本当にたくさんの方達が待ってて下さって有難かったです♡

この日、十色会のイベントも平行して開催されてて、日本の文化を楽しむ一日って事で、最後に日舞鑑賞に来てくださってたんです!!

だから、こんな綺麗にお着物で勢ぞろいされてるんです♡

 

 

みんな、遠慮して近づいてきてくれなくて、すごく遠巻きで見てるの(笑)

彦太先生の時もいつもそうなってるのが、よく分かりました。なんか、近づいて良いのか?だれからお写真撮るのか?遠慮しちゃうのよね、こういう時って。

 

 

堀見悦子先生もご自身のレッスン終わりでお疲れなのに、生徒さんたちと観に来てくださいました♡

お花もありがとうございます<(_ _)>

 

 

今回、私の出番が最後のほうに近かったので、ほぼ、彦太先生のお写真を撮る余裕がなかったんですが、彩子ちゃんが撮ってくれてたので、一枚だけ載せておきます☆

 

 

最後の演目の出番前ですね。左が彦太先生の師匠であられる芳綱先生。特別出演してくださいました。

花廸会ではいつも最後にお二人で踊られます。今年はお二人が母と娘という役柄で、舞台上でもとても温かい空気が流れていて、見ていてグッとくるものがありました。

彦太先生は3歳から踊られてますが、それはおばあ様が日舞の先生だったから。芳廸先生というお名前でした。

芳綱先生のお母様のお弟子さんが彦太先生のおばあ様である芳廸先生だったんですね。だから芳綱先生は小さい頃から彦太先生を見ていらっしゃるので、本当にお孫さんみたいな感じじゃないでしょうか?

そういう長い時代を経て、今、お二人でこうやって踊られているんだなぁって。

そして、彦太先生の門下生の中からもたくさん、名取の人が出ていて、皆さんお名前に「彦」を付けていくわけですよね。

連綿と続く、継承ってこういう感じなんだなぁって、今まで私にはあまり縁のない世界だったので、その重みを近くで拝見していると感じます。

大変な世界だと思います。残していくご苦労やプレッシャーなども含め。

 

今回は2回目だという事で、一回目には全然見えていなかった部分がたくさん見えました。本当に多くの方達の力で、こんな大舞台に立たせていただけている事をヒシヒシと感じました。

本当にありがたいです。

皆様、本当にありがとうございました。

また、次はどこで踊らせていただけるか分かりませんが、さらに精進したいと思います。お越しくださった皆様、来れなかったけど遠くから応援して下さってた皆様、

本当にありがとうございました♡

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