着物 日本舞踊

大ざらえ☆

先日、私が所属している日本舞踊の花柳流

花廸会の「大ざらえ」というものがございました。

「大ざらえ」とは、いつものお稽古場ではなく、本番の会場に近い広さの所で、本番に近い衣装を着て動いてみるリハーサルのようなものです。

※なので写真の衣装と本番の衣装は変わります

 

 

私が今回踊らせていただく演目は『賎の苧環』(しずのおだまき)で、私は静御前の役柄。

私もあんまり歴史が詳しいほうではないので(高校の地理歴史科の教員免許もってるくせにね💦)

静御前って名前は聞いた事あるけど、誰だっけ?って感じでしたが、源義経のお妾さんです。正妻ではないけど、正妻より有名になっちゃってますね(;'∀')

義経が兄の頼朝から追われて奈良の吉野山に静御前を連れて逃げるんですけど、そこで静御前とはぐれてしまって、静御前は頼朝の追っ手につかまります。

そして頼朝がいる鎌倉に送られる所から舞台はスタート。

なので、傘と杖をもって旅の途中の衣装です☆

よくよく考えたら、奈良から鎌倉って!!

そこまで歩いて行くってスゴイですよね、当時は。

旅の途中で膝が痛くなったり、倒れそうになるシーンがあるんですけど、そりゃ、なるよね!!どんなに若くてもさ。

おまけに史実だと、義経の子供を身ごもってるんだもん、この時。

昔の人はホント、スゴイなぁ・・・

 

 

場面かわりまして、鎌倉につきました。

頼朝勢のたくさんの敵陣が見守る中、静御前は舞を披露するように言われます。

というのが、静御前は有名な白拍子だったんです。

白拍子とはもともとは巫女舞から発祥のようで、平安時代に女性が男装をして男舞を神様の前で披露し、雨乞いなどを神様に祈願したようです。

静御前はその白拍子の中でも特に優れた能力を持っていたらしく、一時、京の都で雨が全く降らなくて困った院が京中の白拍子を集めて雨乞いの舞をさせたら、100人目の静御前が踊り出したとたんに豪雨になったというお話があります。

その時に義経は静御前を気に入ったとか…まぁ、フィクションかなり入っていると思いますが。だって白拍子が100人もいた事にも驚きですよね(笑)

面白いのは静御前のお母さんも白拍子なんですけど、お母さんは白拍子の走りみたいな(笑)お母さんが白拍子を有名にしたくらいの、これまた舞の名手だったらしく、そして、お母さん、白拍子の事務所の社長なんですよ(笑)

いっぱい白拍子を抱えてて、それぞれの有名貴族の屋敷に派遣してたんですって(笑)この話、マジで笑える(笑)

その当時から派遣業やってるってすごくないですか??

白拍子については私も踊る機会を戴いたので、かなり調べましたが、超面白いです。

人気ホステスさんに近いものがあるなぁって。貴族に寵愛されないといけないので、学が無いとダメなんですよ。話が面白くないとダメだし、ちゃんと踊れないとダメだしね。もちろん美貌も必要だろうし。

 

話を戻して・・・

いわば、敵陣のど真ん中で自分の愛する人を窮地に追い込んでいる相手に踊れと言われていると。

周りは全て敵だらけ。自分は女だてらでお腹には愛する人の子供も宿している状態。

もちろん、静御前も最初は断ります。が、敵陣ではお酒も進み、舞の名手がいるのに、踊りを見れないなんて!!とやんややんや盛り上がる。

頼朝の妻、北条政子もぜひ見たいと言っていると。

そこで、しぶしぶ静御前は白拍子の準備をして、踊りだすんですが…

 

 

その時の衣装が、このままではありませんが、長袴に刀を差し、烏帽子をこれにかぶります。

カツラもかぶるので、黒髪ロングヘアになります。

それでだいぶ、女性が踊っている感じが出ると思うんですけど、このままだったら、ちょっと私がやると凛々しすぎますよね💦

 

とにかく、この長袴と袖の大きさをうまく扱えるか?がポイント。

そして前半は女舞ですから、後半から男舞になり、膝の向きから足先の向きもすべて反対になるので、そこの切替ですね(-_-;)

 

あとは、男舞を踊りながらも、なんと、静は敵陣の前で、

「義経さまが恋しくて仕方がない」

って歌を歌いながら踊るんです!!!!!

自分の命も顧みず、ウソは付けないと本音を綺麗な声と踊りに乗せて…

会場は静まり返ったと言います。

そして頼朝の側近たちも頼朝も、『なんて歌を歌うんだ!!』と大激怒!!

殺してしまえ!!というんですが、そこで北条政子が、

「私も彼女の立場であったなら、同じようにしたでしょう。

敵ながら、主人を想う姿、あっぱれでございます。

どうか、私に免じて彼女をお許しください。」

と頼朝にお願いするんですね。

北条政子はかなりの権力を持っていたので、頼朝もそれに逆らえない部分もあったんでしょうね。静御前はお咎めナシになるんですけど、でも、子供が生まれたら男の子だったので、子供は海に沈められてしまうんです(泣)

 

で、で、賎の苧環の一番有名な部分の歌詞

しずやしず しずのおだまき 繰り返し

むかしを今に なすよしもがな
ここね、ここの歌詞、白拍子は当時、即興で歌も詠めないといけなかったんですけど、めーっちゃ、深い意味があるんです。

というか、裏の意味もあったりして、ホント、どんだけ静は頭良かったんだよ!!って感じなんですけど、その説明が私には無理なので、こちらのページのアンサーを読んでいただけたら・・・

http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2005/1121/067938.htm

 

私はただ義経さまが恋しいから、昔のように戻れたら・・・

っていう意味だけではないと思うなー。

歴史は繰り返すから、頼朝も昔、罪人で流されてたじゃないか!!

とか、貴方の時代も長くは続かないとか、まぁ頼朝が激怒した意味がそこにいろいろと含まれているような気がするなぁ。

 

まぁ、何はともあれ、北条政子も強いけど、静御前も相当ですよね!!

でも、踊りの中にはすごくしおらしくなるシーンもあり、揺れる女心、そのメリハリが本当に難しいです(-_-;)

 

本番は2/25(日)大阪日本橋の文楽劇場なんですけど、その前にこちらの演目の最後の少しだけ、大阪の新年会でご披露させていただく事になりました☆

センス新年会@大阪の詳細はこちら

↓↓

https://sen-se.com/event/index.html#event180128

 

ぜひ、日本舞踊に触れていただき、良いなぁと思って戴けたら、本番も観に来ていただけると嬉しいです♡

歴史を知ると踊りも面白くなりますね!!

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